彼女たちの理由
仕事が始まったとはいえ、今月の家賃も払えそうにない始末。
だから、週末はまたもやアルバイトをして、昨日は帰ってすぐ寝てしまった。 昨日は、工場でペットボトルのキャンペーンシール貼りの仕事。 30人近くが流れ作業をもくもくと行う。 たばこ仲間の女の子と仲良くなり、一緒に帰った。 彼女は22歳。 職業、フリーター。 自宅の彼女は、携帯電話代が引き落とされず、請求書が届いて初めて、銀行の残高がないことに気づいた。もう、半年、仕事をしていなかった。 仕事することが、好きではないようだった。 それでも、彼女が働かなければならない理由。 母親が体調を崩し、ご飯も彼女が作るようになった。 それが理由と言うわけじゃないのかもしれないが、これまで親に立て替えてもらっていた携帯代、パソコン代などたまりにたまった借金100万円を、2年以内に返しなさい、と宣告されたらしい。 彼女は、ホワイトデニムにモスグリーンのカットソー、そして白い帽子をかぶっていた。 私が編集の仕事をしていると言ったら、「編集ってどんな仕事?」と聞いてきた。 彼女は、DTPをかじったことがあるらしい。「一週間でマスターするフォトシップ」とか、参考書を買って読んでみたが、誤植が多くて、ろくな本じゃなかったともらしていた。 彼女は校正・校閲の素質があるのかも。 彼女がきちんとDTPを勉強したら、一体どんなものを生み出すのだろう。 もしかしたら、私と同じ世界に向いている子なのかもしれない。 彼女は親に借金を返したら、どんなことに挑戦したいんだろう。 今日は、駅前でフィットネスクラブのティッシュ配りの仕事。 女の子4人が集まった。 今日は、5月というのにちょっと肌寒かった。 みんな仕事が終わると、小腹がすいたということでマクドナルドに行った。 一人は、平日会社でホームページを作ったり、書類作成などの入力業務をしているという。そんなに専門的なことをやるわけじゃないから、給料は安い。だから、土日も働いているのだという。 彼女は、3駅分くらいなら電車を利用せずに、自転車を使う倹約家だった。 もう一人は、美大生。 学校まで1時間半かかるうえ、出される課題に追われて平日バイトができない。だから、土日に働いているのだという。 将来は、まだ決めていない。とりあえず今は学芸員の資格を取ろうとしている。学芸員の資格がとれれば、美術館などで働けると彼女は言う。 こんなことを言っては失礼だけど、せっかく美大という刺激的なところに入いるのに、資格なんてつまらないものにこだわっていることに、ちょっぴり残念だった。 学芸員という仕事を私はよく知らないからかもしれない。 たしかに、彼女はものすごく情熱のあるようには見えなかった。 昨日、工場の仕事で、私の3つとなりで仕事をしていた子だと、話をするうちに気がついたが、それまで気づかないほど、おとなしい子だった。 でも、彼女が存在感がないのは、まだやりたいことや夢が見つかっていないからだと思う。彼女にどんな才能やセンスがあるのかわからないけど、私はぜひ可能性を開花させてほしいなと思う。そして、彼女なりの作品を生み出せるといいのになと、勝手に期待してしまう。 もう一人は、平日歯科助手のバイトをしている。 高校を卒業して、スーパーのバイトをしていたが、家族に「やめろ、やめろ」と言われ、就職活動して、歯科助手の仕事を見つけた。でも、きづいたら、また、パートだった。 彼女は就職活動が苦手、嫌いと言っていた。 私は、彼女も以前会っていた。そう、あのAVビデオのピッキングの仕事だ。 笑うとかわいいし、仕事はてきぱきしてるし、周囲への気くばりもできる。 私はいつも彼女に助けられてしまう。 AVビデオの時も、15分前に200本以上の伝票を渡され、時間内に終わらず、残業する羽目になってしまった私を手伝ってくれた。そして、一緒にバスまで走った。 今日も、彼女は先に配り終え、私の分まで手伝ってくれた。 でも、初対面の人からみたら、彼女はちょっぴりぶっきらぼうな感じがするのかもしれない。だまっていると、怒っているように見えないでもない。 彼女は、仕事の後に、派遣先の方からサインをいただく際に、「様」を付けていたので、派遣先の方が恐縮していた。 彼女は、社会人としてもしっかりしているのに、もったいない。 歯科助手の仕事は毎日ではないようだ。 明日もこのティッシュ配りの仕事があればやりたいと言っていた。 平日は、夜10時までで、閉まった後のフィットネスクラブのサウナに入らせてくれるという。 彼女に合った仕事が見つかるといいのに。 日雇いの仕事は、安い仕事ばかりだ。 それでもやっているには、理由がある。 彼女たちは彼女たちなりにがんばって生活している。 私もがんばる。彼女たちも早くそれぞれの道に旅立てるようがんばってほしいな。
by y.asd_xxx
| 2004-05-23 23:14
| アルバイト ゴーゴー!
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