会社の中の編集長
入社間もないのに、こんなことを言っては失礼なのだが、上司を見ていると、昔の自分を見ているようだ。
一番、知識があるから人に任せられず、自分で抱え込んでしまう。 細かいことにすごくこだわって、全体が見えてない。 そういえば、上司に怒られたな。 「スケジュールを考えろ。今、そこまでこだわってやる時期じゃない。妥協することを覚えろ!」 自分が徹夜しても、何とかやり遂げたい、ここまでのレベルにしなきゃ気がすまない、という気持ちでいっぱいだった私は、 もともと“こだわりのない”その上司の言葉が、受け入れら得なかった。というか、そんなことを言う上司を、なかば軽蔑していた。 でも、正直言ってそれをやることは非現実的、リスクが大きすぎるなとか、 やるならなんでもっとはじめからやらないのとか、 それによって外部や後輩たちがどれだけ振り回されるのとか、 傍から見ていると考えてしまう。 編集長として、「どこまでやる」「ここからは次号」という線引きがすごく重要だなと今は思う。 こだわりはややもすると、編集者の「プライド」だったり、「自己満足」になってしまう。 一文字直したところで、読者が、クライアントが気が付かないことも多いのが現実だろう。 でも、編集長が仕事を抱え込んでしまう原因はもう1つある。 それは、自分だけじゃ決められないことが多いということ。 会社組織の中では、編集長であっても決められないことが多い。 何より、社長調整が大変なのである。 それは、大きな会社でも小さな会社でもどこでも同じこと。 編集長が発行するのではなく、会社が発行元になるのであれば、当然のことである。 組織がしっかりしてないとかじゃなく、なかなか決まらないというのは、しょうがないことなのである。 営業の了承を得る 部門の了承を得る 経営陣の了承を得る なおかつ、決まった内容を全スタッフに伝え、共通認識を持つ これは容易なことではない。何度説明してもなかなか理解してもらえなかったり、外部が納得していなければわかっている人間の仕事が増えるし、何かを変えることは本当に骨が折れることなのだ。 版形を変える 紙を変える フォーマットを変更する 書式を変更する 新たに作成した「表記ルール」に則って校正作業をする これだけのことをするなら、発行の3ヶ月前にはしておきたい。 というか、私が心配して病まないのは、発行1ヶ月前で、なおかつ営業締め間際のこの時期、これだけのことを変えたら、クライアントからクレームが来たり、トラブルが目に見えている。しかも、400社枠のうち、原稿がまだ20社分しか入っていない状況では、どんなに制作会社の作業が早くても、どんなに印刷工程詰めても、無理に近い状況でしょう。 かなり厳しいと思い、昨日お昼に誘っていただいた編集長の上司に、「ちょっと心配です」メールを出してみた。 はてさて、本はちゃんとできるんでしょうか。 これまで、かなりきつい状況で本を作ってきたと思っていたけど、今回ばかりは本当にできる気がしない。 ああ、心配。
by y.asd_xxx
| 2004-06-03 09:34
| 愚痴・憂さ晴らし
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