サプライズの誕生日パーティー
アシスタントの子が企画した「鍋パーティー」だと思っていた。
編集長のマンションに7人押しかけて、2つの鍋囲んで騒ぐのだと、疑わなかった。
だから、せっせと働いて、鍋のセッティングをしていた。

そしたらいきなり、ケーキが出てきた。
「happy birthday to you!」

私の誕生日を祝ってくれたのだ。30歳になるこの私を。
なんだ、リストラされるなんて落ち込んでる場合じゃないじゃん。
こんないい人たちの囲まれて、私幸せじゃない、と
この上ない幸せを噛み締めていた。

マンションの表札には、
私が来たときには「鍋パーティー」と書かれていたのに、
いつの間にか「誕生日パーティー」に摩り代えられ、
写真なんか撮ったり、編集長がカクテル作ってくれたり、
Web担当の子がエレクトーン弾いてくれたり、
飲んで、騒いで、酔っ払った。

この時間が長く続けばいいのに……
このメンバーでもっと一緒にいいもの創りたかったのに……
と思いながら、時が過ぎるのが、眠ってしまうのがものすごくもったいない気がした。

でも、素敵な時間だった。みんな笑顔だった。それがうれしくてたまらなかった。
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# by y.asd_xxx | 2004-11-13 12:00 | 感動・うれしい!
429
今の仕事が決まる前、まだ就職活動中からブログを書き始めて半年になる。
立ち上げ当初は、毎日と言っていいほど、ブログを書き、
時には明け方5時近くまで書いていることさえあった。

会社の理不尽さに、組織と打ち解けてきたことに、
年下のメンバーや外部スタッフの教育に、日々一喜一憂し、
興奮しながら書き綴ってきた。

どれだけの人が訪問してくれただろうか?
どんな人がコメントくれただろうか?
それを支えに、現実の世界とブログの世界で自分を振り返ってきた。

今週、日曜日、はじめて182人の訪問者があった。
なかなか更新していなかっただけに、どこかで取り上げられたのだろうか?と
自分の目を疑った。
そして、そんな快挙の後、「休刊、リストラ」という内容のブログを書くことになることを
残念に思った。

強がってきたり、自分は間違っていないと思いながら日々つづってきたが、
どうしようもなく不安で、やり場がなく、みんなに「エールをください」と書いたところ、
いろんなコメントをいただき、本当に励まされた。
顔の知らない、どこでこのブログを知ったのかもわからない人たちが、
自分をみてくれている、励ましてくれることに、心から感謝したい。

自分はライターではないし、ボキャブラリーも少ないし、
性格と同じでクドクドした文章だなと、いつも思う。
でも、
コメントいただいた方からは「私のような若輩者がコメントするのは恐縮ですが・・」
などと前置きをしている。全く、こっちのほうが恐縮してしまう。
そんなに偉そうなこと書いていただろうか?
私自身、知らず知らずのうちに、偉ぶっているのかもしれない、と
ちょっぴり反省するところだ。

いつか、カテゴリーを修正したことがあった。
自分の書いてきた日記は、愚痴ばかりになっていないか、
前向きに自分と向き合っているだろうか?
もっと、うれしかったこと、楽しかったことを書かなければ自分自身腐っちゃう。
そんなことを考えた。

今、私のブログは111件目の投稿を書いている。
昨日は、これまた驚きなのだが、429人の訪問者があった。
前日、ブログを更新したわけでもないので、更新リストからみんなの目に止まったとも
考えにくい。先週は21人なのに、全くの謎だ。

でも、不安定な状況だから、うれしさもひとしおである。
改めて御礼を言いたい。ありがとう。

まだまだ、がんばります。
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# by y.asd_xxx | 2004-11-12 01:41 | とにかく走ってます!
リストラ勧告を受けての小さな抵抗
「この度の本誌休刊にあたり、時期的なことを考えても、
 次の仕事への不安が募ります。

 また、本来なら派遣先責任者である事業部長と、
 派遣元の担当者であるTさんで交渉するはずが、
 事前に事業部長直々に面談し、解雇宣告を受けたことについて、
 派遣先から非常に圧力的な対応をされたと受け取っております。

 すでに次号のスケジュールを作成していたほか、
 次号以降への展開を予測して動いていたにもかかわらず
 あまりに急な休刊について、他の派遣社員をはじめ、
 私自身かなり憤りを感じております。

 事業部長と直接お話して確認したところ、
 休刊が決定したのが11月2日で、
 発表した4日は最短であるとはうかがいましたが、
 校了日前日の突然の発表によって、
 モチベーションが一気に下がったことは否めません。
 もう少し、事前にわからなかったものかと残念に思います。

 事業部長とのお話で、直接申し上げましたが、
 この半年間の中で、
 ・アシスタント(堀さん、武田さん、杉村さん、渋江君)の教育
 ・社内営業・進行管理への教育
 ・DTP会社の教育
 ・取材発注先の開拓~教育
 ・代理店回り、代理店・クライアント向け資料作成
 ・クレーム・トラブル処理
 ・原稿用紙作成
 ・掲載規定作成
 ・自社広告作成
 ・オフィス配送リストの入力~集計
 ・アンケートの入力~分析
 ・通常の入稿、校正、リライト等々
 契約以上の働きはしてきたつもりです。

 ちなみに、6月の労働時間は318.5時間、時給換算すると784円です。

 これも本誌が続くこと、エリアを拡大すること、読者もクライアントも増えることを
 期待だけでなく、信じていたからここまで貢献してきたのに非常に残念です。

 その功績や、苦労に対し、『ビジネスだから』と一言で片付けられ、
 1ヵ月後に終了というのは、
 会社の見通しの悪さを批判せざるを得ません。

 1ヵ月間は雇用が確保されるだけでも喜ばなくてはならないのかもしれませんが、
 御社からも、今後、派遣先としてお考えなら、
 一度、派遣先に派遣スタッフの思いと伝えていただきたくお願いします。

 何卒、よろしくお願い申し上げます」

事業部長との交渉は、坦々と進められた。
あまりにあっさりと、事務的に、形式的に話された。
私で5人目ということもあり、同じことを何度もくりかえし言ってきたのだろう。
自分が意見を言えば言うほど、無力に思えてきて、より一層むなしくなるばかりだった。
机をひっくり返してやろうとかと思ったけど、それよりも何よりも早くその場から
立ち去りたかった。

「残り少ない時間ですが、プロとして精一杯お願いします」
彼が最後に言った言葉だった。
「もう校了しましたから、私のスキルや経験が活かされる仕事はもうありませんけどね」
そう、私は言い放って、立ち去った。

もし、私が彼の立場なら、
「最後まで、がんばってください。
 それがうちの会社があなたに一番望むことですし、
 あなた自身がこの作品にどこまで貢献したかの証ですから。
 次を一緒に作れなくなってしまったのは、本当に悔しいですが、
 最後までいい仕事をしてください。期待しています」
こんな風に言っただろうか?つらいことを言わなければならない立場なのはわかるが、
彼は会社のことしか口にせず、携わってきた人のことなど、
考えていないように思え、笑えてくるほど腹が立った。

席に戻って、そっとPCを立ち上げ、派遣会社の営業宛に上記のメールを書いた。

夕方、営業が会社に飛んできた。
「すいません。すいません。こんなことになるとは・・・僕も初めてです。
 本当にすみません」
何度も何度も頭を下げて謝っていた。自分のせいじゃ、これっぽちもないのに、
彼はひたすら謝っていた。
そして、自分が全営業にお願いして、最優先で仕事を探してくれると約束してくれた。

本がなくなること、組織がなくなること、人が解雇されること、
それがこんなにあっけなく行われるものかを知った。
でも、派遣元の営業をみたら、不安が少しふっとんだ。
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# by y.asd_xxx | 2004-11-12 01:19 | 闘ってます
リストラが始まりました。私にエールをください。
今日からリストラが始まった。
次々に事業部長と面談し、4人の退職日が決定した。

ブック立ち上げ当初からいた営業の女性も、社員以上に、誰よりも売り上げに貢献していたのに、あっけなく来月初旬までと決まった。
アシスタントの話によると、トイレで泣いていたという。
もう一人の営業の女性は、今月末。
進行管理も今月末か、来月初旬で決まったらしい。

つまり、面談とは名ばかりで1ヶ月以内に退職宣告を受けるだけということか。

だから、私を採用し、評価してきた上司を同席させないというわけですか?
圧力的な行為に、腹が立つ。
こんなひどい扱いを受けるとは微塵も思わなかった。

事業部長本人が、現実からかけ離れた目標を設定して、
取締役クラスを説得するために、発行周期を早めたり、エリア拡大していくことを推し進めていたくせに。

版が増えた時のことを想定して、
アシスタントを必死で教えたり、進行管理を教育したり、
代理店を回ったり、代理店やクライアントを説得するための資料を作ったり、
DTP会社を教育したり、新規の取材先を開拓して教育管理したり、
掲載規定作ったり、未知のジャンルの規定を調べたり、
みんなの愚痴聞いたり、
それが、すべて泡のごとく消えてしまう。

上司は、精算する際に、つけこまれないようにと、
制作会社にはしばらくは休刊になったことを黙っていると言う。
つまり、一緒にがんばってきた人たちに挨拶もできずに私は去るしかないのだ。

明日、私が退職勧告を受ける番。

週末ネットで仕事を探してみたが、予想どおり仕事はなかった。

行き場のない憤りをどうすればいいのか、事業部長にぶつけようかとも思った。
しかし、事業部長だけが痛手を負わないわけがない。
部署が解体し、精算処理がすんだら、彼は居場所があるかさえわからない。
でも、冷静に考えてみれば、彼はもともと国立出身の元コンサルというエリートだから、他でも引く手数多だろう。
彼には媒体は向いていなかったというだけで、傷がつくわけじゃないのかも、と思えてくる。
彼は媒体がなくなっても、残念とか、悔しいとか、寂しいとか思っているのだろうか?
今、取り急ぎ解雇するのは私を入れて6人。
どんなに媒体に貢献したとした人材であっても、そんなことは関係ない。
彼は年内には部を精算したいのだ。
心が痛むなどあるのだろうか?

就職情報誌を作っていた以前の会社の社長からこんな話を聞いたことがある。
「私の知り合いの人事は、大量にリストラしなければならなかった。
 彼にはボディーガードをついていた。
 なぜなら、リストラされた人からの逆恨みで、その人事は殺されかけていたからだと言う。
 我々は人の人生を左右してしまう人事の苦悩や痛みを理解して
 この仕事に携わらなければいけないんだ」

しかし、明日、まさに私をリストラしようとする事業部長は、人事ではない。
痛みなど持たない人なのだ。

媒体がなくなるのは、事業部長だけのせいではない。
そんなことは重々承知していた。
会社の財務体制から、いつまでも累積し続ける赤字に耐え切れないと判断されたこと。
媒体が競合他社に比べ、コスト高で、時間もかかる半径をしていたこと。
後発であったにもかかわらず、営業がノウハウを持っていなかったこと。
競合他社と差別化するために、編集サイドがクオリティにこだわりすぎたこと。
指揮命令者である事業部長があまりに媒体づくりに無知だったこと。
媒体に社名が付いていることや社長案件であることに過信し過ぎたこと。
派遣の私でさえ、いくつも要因が思い浮かぶ。
私は、たまたまどうすることもできない悪循環の中に居合わせてしまったに過ぎないのだ。

媒体は減っているけど、たくさんある。自分はどこでも生きていけると思った方がよさそうだ。

ビール片手にブログを書いていると、今の状況が他人のことのように冷静に見えてくる。
ちょっと助かった気がする。
そういえば、私の人生、こんなこと続きだった。大したことじゃない。
ってゆうかなんとかするしかない。
よしっ。 寝よう。

でも、もしもこのブログを読まれた方でこんな私にエールをいただけるのなら、
心よりお待ちしております。どうかパワーをください。
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# by y.asd_xxx | 2004-11-09 03:30 | 闘ってます
QRコードの作り方
最近良く目にするようになった、QRコード。
このコードを作成するのにお金がかかるのでは?
コードを使用するにあたり、使用料が発生するのでは?

なんて勝手に思い込んでいたら、大したことではない。
QRファクトリーで簡単に作れることを知った。しかも、タダ。

バーコードリーダー機能のついた携帯から読み込むと、URLへ誘導することができる。

ある地図会社では、エリアごとにQRコードをつけて、おすすめスポットのサイトへ飛ばす。
ちょっと感動。
ドコモってすごーーーーーい!タダなんて太っ腹。(ケータイの普及、買い替えを見込めばいい投資か?)
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# by y.asd_xxx | 2004-11-09 00:41 | おもしろ~い!
突然の休刊宣告
休み明けの木曜日。
校了日の前日。

上司である編集長から、1通のメールが届いていた。

「お疲れさまです。

 大変残念なお知らせがあります。

 詳しくは、本日13時に事業部長より伝達がありますが、かなり深刻です。
 それまでは、話をしないよう言われていますので、
 申し上げることができません。

 まったく力不足で、申し訳ありません」

送信されたのは、前日。
編集長は、台割を作るために出社していたはず。
こんなメールを書くためでは決してなかったはずだった。

メールのとおり、午後1時に、部全員参加の会議がセッティングされていた。

上司にメールの真意を確かめるようなことは決して許されない、
そんな雰囲気を醸し出していた。

緊張感を抱きつつ、ただひたすら刻々と時間が過ぎるのを待った。


午後一時。
会議は、普段と違い、薄暗い、重々しい雰囲気のミーティングルームで行われた。
すでに各自の席に資料が配られている。

先日発表になった人事異動に伴い、新しい組織図が記されていた。
事業部長は、新しい組織について、坦々と説明し始めた。

一段落ついて、事業部長が本題に入るといった面持ちになり、全員が息を呑んだ。

「誠に残念ながら、ブックは現在製作中の11月号を以って、
 一時休刊ということになります。
 復刊の予定は今のところ立っておりません。

 すでに次号の営業が始まっていたので、
 申し込みをいただいたお客様には、全てキャンセルということでお願いします。
 この時点から、営業の皆様にはその対応をお願いします。
 突然のことですので、私の方で、クライアント向けの書面を用意しますので、
 営業の方はそれを配っていただいても結構です。
 クレームに発展するようであれば、私が同行します。

 これまでブックに関わっていただいた派遣の方、アシスタントの方について、
 来週、私が直接面談させていただきたいと思いますので、この後残ってください。
 
 今回の号が最後となりますので、最後までプロとして責任を持って仕事をして
 いただきたいと思います」
 
事業部長の報告は、10分程度だっただろうか。
誰も言葉がなかった。

編集長の顔が見れなかった。

席に戻り、じっと座っていられずふらふらしていると、
目の前の席のWEBチームの男の子が、腕をつかみ、無言で「元気出して」と訴えた。
その瞬間、涙が溢れた。
会社を首になったことはあっても、媒体がなくなるのは初めてだった。
悔しくて、悔しくて、寂しくて、寂しくて、泣き崩れた。

そして、来週から私は仕事がなくなる・・・・・・・・・・。
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# by y.asd_xxx | 2004-11-04 22:59 | 闘ってます
ニス加工のマジック
ゲラが夕方8時ころ出たので、全部チェックして、進捗表更新して、
明日の手配して、時計を見ると3時を回っていた。

編集長も明日朝からアポがあるのに、2時近くまで残ってくれた。
今回の編集長は、ちょっとやる気だ。
今回の人事異動がかなり気に入ったのか、なんなのか理由はわからない。

今日も、隠れて印刷会社と遊んでいることを知った。

何して遊んでるかというと、
表紙の加工をどうしようかとあれこれ遊んでるんのだ。

創刊号は、pp加工がされていた。
 ※ppは、ポリプロピレンの略で、
  A3サイズまでの大きさの印刷物は小型の加工機で手差しで行うので、
  時間もかかるし、加工費が高くなってしまうのだ。

  ちなみに、下記のページで、その工程が写真で見ることができる。
  http://www.laminex.co.jp/ppkakou-gaiyou.htm

2号は、予算の関係で、ppがなかった。明らかに見栄えが悪く、ちょっとがっかりした。

3号は、マットニスをかけた。
 ニス加工は、フイルムを1枚作って、印刷するので安く済むよ!と私が教えてあげたのだ。

 ※pp加工すると、インクの顔料表面が樹脂で覆われることになり、
  光が正反射するようになるため、顔料本来の色で見えるようになる。
  わかりやすくいうと、
  色が濃くなって見える。
  私も過去に白い表紙が、ppかけた色校を出さずに校了して、
  納品したら、グレーに見えると怒られたことがあった。
  一般的には、赤が強く見える。
  それに比べ、ニスはppほど色の耐久性、耐水性はよくないが、
  色が極端に変わらないし、自然に仕上がる。
 
4号は時間なく、そのままマットニスだった。

次は、本が薄くなるので、表周りの紙を厚くして、
なおかつ、地紋を抜きにして、マットニスを2回かけてみようかと彼は実験している。
地紋には今のところ、ダミーで星マークにしているのだが、
「光に当てると、星がピカピカするんだよ、ほら。
 逆バージョンも作ってて、星だけざらざら感がある、どう?
 ニス2回塗っても、10万部で、6万しか変わんないんだよ。
 これはいいよね」

・・・ああ、楽しそうだ。
校正、原稿整理、教育とかじゃなくて、私も、そういう遊びしたい。
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# by y.asd_xxx | 2004-10-28 04:58 | とにかく走ってます!
徹夜明けの休日。
徹夜明けの休日。

嗚呼、今週はあんなに暇だったはずなのに、週末締めだったせいで、休日がなくなってしまった。
それでも早く行って早く終わらせようと思い、昨日は久しぶりに会った友達との飲みを途中で抜けてきたというのに、
蓋を開けたら、終わるどころか、見ててムカムカするような入稿状態。
「まったく・・・もうっ」
「この担当者、ここに正座させて説教したい」
など、大きな独り言をバイトの子と発しながら、刻々と時間が過ぎていく。

昼前には来たはずなのに、気が付けばもう夜10時を回ってる。
となりのグループの子とのカラオケの時間だ。
「どうしましょう?全然、終わらないですね」
「うん」
「明日、早く来てやりましょうか?」
「明日早く来てって行っても、昼には取りに来るから、間に合わなかったらどうすんの?
 だって、これ全部見て、データとリスト付け合わせて、ROMに落として、
 発注書作って、これ全部営業用と編集長用にコピーとって、進捗表更新するんだよ」
「ふ~」
「・・・」
「戻ってきてやりますか」
「そうしよう」

バイトの子は、編集経験は浅いけど賢かった。要領がいい。状況をちゃんと把握できる。
おまけに愛嬌もある。こんな徹夜の夜を一緒に過ごすのは、こういう子だと助かる。

3時間、憂さを晴らし、秋の夜空を眺めながら二人で肉まんをほおばり、会社に戻った。

夜の4時を過ぎると、口数もめっきり減り、
「少し横になっていいですか」なんて弱音が漏れてくる。

チェックとコピーが終わることには、外が明るくなっていた。
8時過ぎ、バイトの子を帰らせ、自分は時計をちらちら見ながらサクサク書類を作る。

間に合った。

「最悪の24時間が終わろうとしています。疲れました」
と、『24』フリークの編集長にメールを入れて、パソコンを閉じる。


12時過ぎ、外は気持ちのいい青空だった。

これで帰って寝たら休日おしまいかと思うと、そのまま眠りにつく気にはなれなかった。
地下鉄に乗ると、休日の昼間のせいかがらんとしており座ることができた。
不意に、電車を途中下車してみる。

ほとんど降りたことのない駅。
目的もなく、ただ商店街を歩いてみる。
歩きながら目的を考える。
さほどおなかが空いているわけでもけど、お昼でも食べようか。
買う気はないけど洋服でも見ようか。
しかし、店が並ぶ割にはこれといって大した店はなく、
小道を入ると、看板の剥がれたバーや寂れた小さなスナックが数件軒を連ねていた。
太陽が真上にあるらしく、空はまぶしかった。
徹夜明けで目がショボショボしている私には特にまぶしかった。
何もない町で、突然「カキーン」という金属音が聞こえた。
最初は疲れているせいかと思ったが、耳をすませてみるとその音は連続して聞こえてきた。
歩くとその音は徐々に大きくなり、その音に誘われて歩いた。
大きな通りに出て、十字路を曲がると、
手作りっぽい小さな看板に「バッティングセンター入り口」の文字。

入り口はビルとビルの隙間といった感じで、
上へ上へ屋根のない階段がのびていた。
階段は4階くらいまで上がると、やっとそれらしい場所が開けた。

錆び付いた両替機に500円玉を入れると、奥からちっちゃなおじさんが出てきた。
手には、100円玉をじゃらじゃら握っている。
確かに。両替機に入れたはずの私の500円玉は、戻ってきていた。
おじさんにくずしてもらった100円玉を握って、左打ちのボックスを探す。
探すと言ってもそこは3つしかなかったが、左打ちは一番奥らしい。
100キロと書いてある。

バックスに入って、まずはバットを物色。どれも同じくらいの重さだ。
私は銀のバットを選び、お金を投入する。
徹夜明けの体は、そんな簡単にバットを振り回せるほど言うことは聞かなかった。
1球、2球、ゆっくり空振りすると、昔鍛えた感覚が戻ってきた。
ファール
ファール
セカンドゴロ
セカンドゴロ
レフトフライ
セカンドゴロ
センター前ヒット
横には首都高が同じ目線で走っている。
まぶしいくらいの青空に向かって打つのは最高に気持ちよかった。
100円玉を追加して、夢中になり、ホームランを1・2本打つと、気づかないうちに
ギャラリーが増えていた。
急に恥ずかしくなり、ボックスを出ると、
若いお兄ちゃんが、「うまいですね。なにかやってたんですか?」
肩をすくめ、「ええ、ソフトボールを。・・でも10年前ですけど」

階段を下りるころ、私は徹夜してむしゃくしゃしてたのも忘れ、笑っていた。
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# by y.asd_xxx | 2004-10-17 20:44 | おもしろ~い!
嵩高紙(かさだかし)
ちょっと前に、話題となった「嵩高紙」というのをご存知だろうか?

話題の発端は、320万部の大ヒットとなった片山恭一さんの小説「世界の中心で、愛をさけぶ」のヒットの理由のひとつとして、小学館がこの嵩高紙(かさだかし)が使われたことを挙げたことにある。
私が知ったのは、昔の上司から教えていただいたのだが、NHKのニュースや日経産業新聞などでも取り上げられたそうだ。

調べてみると、
「嵩高紙(かさだかし)」とは、繊維の隙間に空気を含んだ紙で通常の紙より軽くて分厚いのが特徴。
しかし、これまでは時間がたつと紙が黄ばんでしまうなど品質に問題があったのだが、
3年前、日本製紙が紙質も滑らかで、変色しにくい紙の開発に成功。
そして現在に至るということらしい。
実際、昨年の市場では、前年比45%増を記録したという。

では、具体的に「世界の中心で、愛をさけぶ」が嵩高紙を使用することでどう変わったのか?
「世界の中心で、愛をさけぶ」の総ページ数は、208ページ。
束(厚さ)を計ると18mm。
これは通常の紙を使用した場合に比べ、20%厚い。そして、3%軽い。
製紙会社と取引する際、枚数ではなく重量で取引するため、この嵩高紙を使用することはコストも削減できるのだ。

読者の目線に立って考えてみよう。
いわゆる読書家が減り、たまに本を読むライトユーザーが増加。
そのライトユーザーが読んでも、適度な厚みのおかげで、スムーズに、あるいはテンポよく読破でき、「あれっ、私ってこんなに読むの早かったかしら、ほほほ」などという軽い錯覚に陥りながら、満足感を得られるのだという。
それが、「活字離れの10代の少女に受け入れられた」と、小学館の執行役員もコメントされている。

ちなみに、綿矢りささんの「蹴りたい背中」や金原ひとみさんの「蛇にピアス」などにも、嵩高紙が使われるらしい。

私も束を出すために、印刷会社さんと話して紙を代えたりしてみたけど、その時聞いた話によると、
紙と平行して、製本する際の粘着剤も進歩しているため、分厚い本も製本しやすくなったし、割れにくくなったという。

本作りって、編集作業はアナログな部分も多いけど、こういった技術に支えられてるんだなとつくづく思った。
もっと、勉強しなくては。
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# by y.asd_xxx | 2004-10-14 04:40 | 学び
■お知らせ 映画のblog『cine☆cine☆cine』立ち上げました 
別に映画マニアとかじゃないし、評論なんて大それたことするつもりもないのですが、
ただ、周りに映画好きの方が多くて、私自身ちょっと見る機会が増えたので、映画のblogを立ち上げてみました。

あまり知られていないような映画を見つけて見るのが好きなので、邦画・洋画問わず、新旧問わず紹介していきます。

お楽しみあれ。

cine☆cine☆cine
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# by y.asd_xxx | 2004-10-14 01:51