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校閲の重要性 (校閲までできる編集者はすばらしい!)
校正と校閲は違う。

辞書によると、
『校正』とは、
1.文字・文章を比べ合わせ、誤りを正すこと。
2.印刷物の仮刷りと原稿を照合し、誤植や体裁の誤りを正すこと。
一方の『校閲』とは、
1.文書や原稿などの誤りや不備な点を調べ、検討し、訂正したり校正したりすること。

彼女は、私より1つ下の28歳だが、きちんと校閲までできる編集者だ。
彼女と出会えたこと、彼女がこの媒体に携わってくれたことによる収穫は大きい。

彼女は1ヶ月の短期派遣ということでやってきた。
上司いわく、私より300倍まじめそうな子。
映画好きという彼女は、あまり多くをしゃべらず、お願いする仕事一つ一つを坦々とこなしてくれた。
しかも早くて正確。
だから、そう時間もかからず、いい加減な上司や私にとって、ものすごく頼りになる存在になった。

多くの代理店を通じ、制作するにつれ、
代理店の営業も社内の営業もほとんどが、御用聞き程度、売ったら売りっぱなし、クライアントのいうことを横流しするだけだということを身にしみて感じていた。
それにより、虚偽の情報を印刷して世の中に出していること、WEBでこの瞬間にも大量の人々の目にさらしていることに、編集部の誰もが罪悪感と苛立ち、嫌悪感を抱いていた。
誰も信用できない。何も信用できない。全ての情報を確認しないと、どれが本当でどれがうそなのかわからない。本にしてしまえば、全てがわれわれの責任になってしまう。それが、奥付に名前を載せるということの意味だ。だからこそ、どんなに効率が悪くても、徹夜しても、あら探しをした。
この金額は、本当に税込み価格なのか?
誌面に掲載されている内容と、ホームページでは営業時間が違うけど、これは間違いなのではないか?
本文に書かれているこのとメニュー欄に記載されているものは、同一のものなのか?そうであるなら名称は統一してほしい。
このメニューとこのメニューの金額の差はなんなのか?
この書き方では、別の意味に捉えられてしまうのではないか?
この内容と、この内容では矛盾している。どちらが正しいのか?
このクライアントは、本当にこれが売りなのか?代理店の力量で、こんな表現にとどまっているに過ぎないのではないか?他に売りになることはないのか?
いくら広告媒体といっても、編集部として、こんなことを言い切っていいのか?
掲載規定にひっかからないのか?トラブルにならないのか?
こんなことをいう根拠はどこにあるのか?
1つ1つの原稿への確認事項は尽きなかった。
すべて、営業担当者宛てに「確認事項」とリライトした場合にはその「理由」を沿え、初校だしをした。

初校だしの後は、赤字のラッシュ。
どれだけ元原稿がいい加減だったか思い知った。
前面差し替えも少なくなかった。
前面差し替えともなれば、文字数との戦いである。
もともと苦労して、制限を守れるように、文字カウンターをつけた原稿用紙を作ったのに、ゲラで差し替えとなってしまってはその効力も全く効力を発揮していないも同然。
編集長もぶち切れたが、「この内容とこの内容を盛り込んでリライトしてください!」などと代理店が版元であるうちに、ライター扱いする有様。それで代理店は原稿作成料をクライアントからぶん取っていると思うと腹が立つと言ったらない。
編集部は、私と短期派遣の彼女とアルバイトと編集長の4人で、すべての原稿をチェックしなければならないというのに、進行管理は代理店の担当者の心配ばかり。
挙句の果てに、「私、編集部のいうことを伝えているだけなんです」と代理店に言っている始末。代理店に気に入られたいとでも思っているのだろうか?いや、彼女ならそう思わないでもない。本来、進行管理は嫌われてなんぼなのに。

毎回のことながら、そんなドタダタがあるので、「本当に本になるか、心配」なんてこと、思わなくなってしまった自分が怖い。でも、本当に終わってよかった。

まだ、誤植発見のニュースは飛び込んでこないし。

やっぱり、これはひとえに冷静な彼女のおかげだな。私も編集長も編集長仕込みのアルバイトもだんだん媒体に慣れてきて、見えなくなってしまっているところ、本来抑えなきゃいけないところをきちんと指摘してくれた。
そして彼女は、「しばらく、ゆるい仕事が多かったので、久しぶりに仕事らしい仕事ができて楽しかった」と言って、去っていった。カッコイイ。

今日は、その彼女を誘って映画を見に行った。
仕事が終わってすっかりひきこもっているという彼女とご飯を食べながら、また一緒に仕事できればなと思った。一方で、彼女のやりたいことがみつかればいいなと応援しくなった。
by y.asd_xxx | 2004-09-16 06:46 | 感動・うれしい!